BASICS

基礎知識

西洋占星学の基本を学ぶ

リリス(ブラックムーン)

占星学における「リリス」には複数の定義がありますが、最も広く使用されているのは月の遠地点に基づく「ブラックムーン・リリス」です。月の軌道上で地球から最も遠い点を指し、隠された欲望、抑圧された衝動、叶わぬ望みを象徴する感受点です。

「リリス」の三つの定義

占星学で「リリス」と呼ばれるものには、以下の三つの異なる概念があります。混同を避けるため、それぞれの違いを正確に理解しておくことが重要です。

1. 小惑星リリス(1181 Lilith)

1927年に発見された実在の小惑星です。火星と木星の間の小惑星帯を公転しており、物理的な天体として観測が可能です。占星学的な使用頻度はブラックムーン・リリスに比べて低い傾向にあります。

2. ブラックムーン・リリス(月の遠地点)

月の楕円軌道において地球から最も遠い点(遠地点)を指します。実体のある天体ではなく、計算上の感受点です。占星学で単に「リリス」と言う場合、通常はこのブラックムーン・リリスを指します。本ページでは主にこのリリスを解説します。

3. ダークムーン(ウォルデマス・ムーン)

地球の第二の衛星として仮説的に提唱された天体ですが、その存在は天文学的に実証されていません。一部の占星家によって使用されますが、主流の技法とは言えません。

ブラックムーン・リリスの象徴

月がありのままの心や感情を表すのに対し、月の遠地点であるリリスは、心の奥底に抑圧された欲望や、社会的に受け入れられにくい衝動を象徴します。それは意識の表面には上がってこないものの、人生の選択や行動パターンに無意識的に影響を与え続けます。

リリスの配置は、その人が本能的に惹かれながらも恐れや罪悪感を感じるテーマ、社会の通念に反してでも追求したい衝動、そして意識化することで大きな解放と力を得られる領域を示しています。

三つの計算方法

ブラックムーン・リリスの黄道上の位置は、計算方法によって異なる値が得られます。主に以下の三つの方式が用いられています。

Mean(ミーン / 平均値方式)

月の軌道を完全な楕円と仮定し、その遠地点の位置を平均的な運動速度から算出する方式です。計算が比較的単純で、精密な計算手段がなかった時代から使用されてきました。動きは滑らかで、逆行しません。

True / Osculating(トゥルー / 曲率円方式)

地球を中心として、月の速度ベクトルに基づいて遠地点の位置を計算する方式です。Mean方式より精密ですが、太陽の引力による摂動を完全には反映していません。不規則な動きを示し、しばしば逆行します。多くのホロスコープ作成ソフトで採用されている方式です。

Natural / Interpolated(ナチュラル / 補間方式)

実際の月の軌道運動から補間によって遠地点の位置を算出する方式です。太陽の引力による影響も反映されるため、最も現実の軌道に近い値が得られます。ただし、計算が複雑で、対応しているソフトウェアは限られています。

リリスの周期と星座

ブラックムーン・リリスの公転周期は約8年10か月です。一つの星座に約9か月間滞在し、その期間中に生まれた人々は同じ星座のリリスを共有します。

リリスが位置する星座は、抑圧された欲望がどのような性質を帯びるかを示し、ハウスはそれが人生のどの領域で発現するかを示します。アスペクトを形成する天体は、リリスのテーマに関わる具体的なエネルギーの質を表します。

リリスの解釈における留意点

リリスは「影」や「タブー」と結びつけられることが多いですが、それは否定的な意味ばかりではありません。リリスが示す衝動や欲望は、意識的に統合されることで創造性や自己解放の源泉となり得ます。リリスの配置を理解することは、自分の内面にある未統合の部分と向き合い、より全体的な自己理解に到達するための手がかりとなるでしょう。

はじめての方はこちら